湿度に対する日本建築の知恵

蛍も飛び交う季節になり、寝苦しい梅雨がやってきます。

そんな季節に対する日本の伝統的な建物の知恵を少し、知る範囲で書いてみたいと思います。

 

日本の伝統的な建築の大きな2大特徴は地震に対する強度と湿度に対する快適性ではないでしょうか。

 

一番肝心なのは地震力を受け流すための先人の知恵、

石場建、土壁、貫構法、卍固め、四方転びなどの技術です。

このような技術は伝統構法として今日の大工にも受け継がれています。

またの期会にこの伝統構法についても紹介したいと思います。

 

今日はもう一つの大切な特徴、高温多湿な日本の気候に対する伝統的な建物の知恵を見返してみたいと思います。

 

 古民家の玄関を開け土間に入るとひんやりした心地よい空気を感じます。

 

土壁

伝統的な建物の壁は土で出来ています。
薄い壁で60mm、一般的には90mm、厚いものだと150mm以上の壁もあるのですが、
中身はほぼ土です。
この壁土には吸湿性と呼ぶには失礼なほどの吸水力があるのですが、
室内でその効果を期待するなら仕上げは出来る限り土のままが良いでしょう。
そして出来れば室内は荒い土壁仕上げ、外壁に近づくほど細かな土で仕上げて、
外壁は漆喰などの風雨に強い仕上げをお勧めします。
その理由は毛細管現象というものを御存じでしょうか?
室内の湿気を吸い取り外部に放出するそうです。
それに加えて、土の質量が一日の気温を均一にする調温機能として働いていました。

 

大和天井
九州の古民家の天井裏を改装や、点検すると普通に見ることが出来るのが、
天井の上に敷いてある驚くほどの量の土です。
この土は台風に飛ばされないよう家を重くしたいという意味と、

火事に対する対策の他、湿度の調整、温度の調整の為ではないかと思います。

 

土間
土間とは古民家でもあまり見ることが出来なくなった、土のままのへやで、
石灰、土、にがりを混ぜた土を締め固め、床に
その上にもときどきにがりを撒きますが、そのにがりとは?
なんと水取り○○さんの中身と同じ塩化マグネシウムです。
土間は巨大な水取り○○さんでした。
空気中の湿気を吸い取り、地中に排出するという知恵、
昔の人は本当に賢いですね。

 

日本の家と言えば現代では畳ですね。

蒸し暑い日に畳の上でごろ寝をすると涼しくて

時間が経つのも忘れてしまいます。

しかし庶民の住む家に畳はなかったようで、

武家屋敷や、商人などお金持ちの家で使われていたそうです。

では庶民はというとムシロやゴザを敷いて寝ていました。

 

荒木仕上げ
私共のトレーラーには土壁や、土天井、土間を使うことが出来ないのですが、
この荒木の木、鋸で挽いた荒い素地のままの板材を使用しています。
カンナで仕上げた材木が見た目を含め良いように感じますが、場合によってはこの荒木は侮れません。
昔の庶民の家で使われていた荒木の板はカンナで削った板と比べて何倍もの表面積があり、
吸湿性、消臭力、吸音性などを比べてみても断然勝ると思っています。
カンナ仕上げは技術は要るのですが、仕事としてそんなに手間はかかりません、
しかし製材所から届いたままを維持する荒木仕上げは大変な手間がかかります、
見た目の風合いも含め、手間を惜しんででもこの仕上げを使わせて頂こうと思います。
(某ファミリーレストランでは壁や天井の壁紙に荒木仕上げの板材柄が使われています)