暖炉

今回制作したBaske-T 1900には本物の暖炉がついています。

 

初めに暖炉と、薪ストーブの違いをお伝えしておきましょう。

 

暖炉(ウィキペディアより)

暖炉は耐火煉瓦や石材などを用いて室内の壁面に作られた凹型の炉で煙突で家屋の外部と直結している。炉内でガスを燃やし、その熱で室内を暖房するが、ストーブとの根本的な違いは煉瓦や石材に吸収されたエネルギーを用いて薪に輻射熱を与えて燃焼させ、その余禄を人間が得ることである。すなわち、燃焼室の後方と下方には耐火煉瓦が必要でその断熱には最大限の注意を払わねばならない。また、煙突への接続部はスロート(英語でthroat, のどの意味)があり、燃焼ガスのみが高速で吸いだされるよう、絞りが与えられている。これがないと室内の空気がどんどん吸いだされてしまい、寒くて仕方がないことになる。もちろんダンパでその開度は調節でき、不使用時には閉めることができる。

 

薪ストーブ(ウィキペディアより)

薪ストーブはとてもシンプルで、灌木や廃材の多い場所で使用する場合に限れば燃料代が殆ど掛からない長所がある反面、幾つかの欠点も存在する。まず、燃焼の伝播が対流と燃料の配置の如何によってのみ左右され、燃焼機器の空気穴の配置が不適切であったり燃料の積み方に不具合があると片燃えや立ち消えを起こしてしまう可能性が高い。また液体燃料ストーブがバルブによって燃料供給量や火力を調整するのに対して、薪ストーブは薪の投入量のみで火力を制御しなければならず、きめ細かな火力調整にはある程度の熟練を要する。その上、薪が燃焼する際にはある程度以上のすすが発生し、ストーブや調理器具が黒い煤で汚れてしまう。燃え残りの灰などがゴミとして大量に発生することも問題となる。燃焼効率自体も薪は化学熱力学の観点上はの内部にいくらかの熱エネルギーを保有し続けるために、幾ばくかの熱エネルギーは利用されないまま放棄されてしまう。

バイオマス資源が豊富な北欧・北米では、薪ストーブで冬期の暖房・調理をまかなう家庭も多い。最近の薪ストーブは、触媒や二次燃焼システムなどを用いて煙に残る化学エネルギーを燃焼させ、燃焼効率を高めている為に煤・煙による大気汚染は大幅に軽減されている。

 

私が薪ストーブに出会ったのは子供のころ祖父の経営している製材工場の休憩所で燃えていたダルマストーブでした。

その後さまざまな薪ストーブを扱ってきましたが、高性能な現代の薪ストーブになればなるほど求めている本当の意味での温かみというのか、火と対話をするというような感覚が減っていくような気がするようになりました。

そして、知ってはいたものの本気で惹かれていなかった、何世代か前の別荘や高級邸宅などに使われていた暖炉にとても興味をひかれました。

 

 しかし、その暖炉、性能を調べていくと非常にむつかしく、メイン暖房に使うには無理なのではないかと思うようになりました。

熱効率が悪い、そして完全燃焼しづらく煙やタールが出る、石やレンガで作るため大変重い、など現実的ではないと思いました。

おまけに、今回使いたかったのは割りばし程度の木で暖をとれる暖炉でした。

超小型の薪ストーブなども検討しましたが、やはり目指すは子供のころに感じた、火と対話をする感覚です。

 

今までの経験と、様々な素材やノウハウを組み合わせて、試行錯誤のうえ、何とか実用に耐える暖炉が出来上がりました。

これからしばらくはこの暖炉をテストしながら、不具合がないように、また性能向上を目指して試運転をしていきます。

 

暖炉は家の心臓と呼ばれるほど大切なものであると思います。

大型のテレビが心臓にあるのではなく、人が集う、語らう場所が家の中心にあってほしいと思います。